日暮し同心始末記(1)、(2)

辻堂 魁 著 はぐれ鳥日暮し同心始末記-1-)

      花ふぶき日暮し同心始末記-2-)

 

 連作である。一章づつで話は切れずに、関連付けられていて、退屈しない。

 日暮龍平は公儀番方小十人組旗本の三男だった。町方同心などとんでもないと親戚中が反対するなか、八丁堀に婿入りし町方同心になった。龍平は妻となる娘の容姿も気立ても縁談がもちあがった経緯も知らないままだった。意外なことに、器量はよかった。

 妻、麻奈は長身で亀島小町といわれたが学問好きであった。麻奈は龍平を知っていた。知り合いだったと言う。私塾で同じだったと。「一度だけ話を持っていください」と両親に頼んだという。

 龍平は平同心から始めたが、八年たっても平同心のままだった。面倒な仕事ばかり押し付けられている。しかし、あまり知られていないが小野派一刀流の手練れである。

ある夕刻、奉行、詮議役与力、番方筆頭与力らに呼ばれる。

 

 

 

 

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