2015-12-01から1ヶ月間の記事一覧

大みそかのウエディングドレス

紺野美沙子 著 大みそかのウエディングドレス 作者はあの女優である。読み始めてから気付きました。作者二作目のエッセイである。一作目は、『M-misoji(三十歳)のひとりごと』である。この二作目『大みそかのウエディングドレス』では、筆者自身の、出逢い…

使者 (百万石の留守居役-6-)

上田秀人 著 使者 (百万石の留守居役-6-) 加賀藩筆頭宿老「本多長政」の娘「琴」の許婚となり、若年ながら留守居役となった「瀬能数馬」は、宴席での失敗を防ぐために、主命という形で、会津へ派遣された。その理由は加賀藩主前田綱紀は会津家からきた正室…

桜姫

近藤史恵 著 桜姫 本書の帯から 『十五年前、大物歌舞伎役者の跡取りとして将来を嘱望されていた少年「市川音也」が幼くして死亡した。それ以後、音也の妹「笙子」は、自らの手で兄を絞め殺す生々しい夢に苦しめられるようになる。自分が兄を殺してしまった…

土蛍 (猿若町捕物帳-5-)

近藤史恵 著 土蛍 (猿若町捕物帳-5-) 猿若町捕物帳シリーズの第5巻目です。 主人公は「玉島千蔭」南町奉行所定廻り同心である。しかし物語の語り手は手下の「八十吉」である。父「千次郎」、後妻の「お駒」、そして生まれたばかりの妹「おたつ」がいる。 青…

確証

今野 敏 著 確証 作者の作品独特の手法、語調を、楽しめました。面白いと思います。 書籍の帯には、『注目の新シリーズ開幕、新たなる相棒の誕生』とありました。 警視庁捜査三課で盗犯一筋のベテラン警部補「萩尾秀一」は部下の若い「武田秋穂」とコンビを…

地に巣くう(弥勒シリーズー6-)

あさのあつこ 著 地に巣くう(弥勒シリーズー6-) このシリーズには特徴があるように思います。 『酒は人を狂れさせも、誑かしもしない。人の本性を暴くだけだ。大工は日頃から女房に倦んでいたのだし、手代は吝嗇な主を憎んでもいたのだし、浪人は行く末…

離れ折紙

黒川博行 著 離れ折紙 書店で表紙を見て読むことにしました。しかし表紙ほどには、その中身には興味を惹かれないです。 古美術商の世界を描いています。本書の主人公「澤井」は、洛鷹美術館の非常勤のキュレーター(学芸員)である。館長の「河島」に誘われ…

ウェザ・リポート

宇江佐真理 著 ウェザ・リポート この書物、2010年発行の文春文庫で所有しています。表題は『笑顔千両 ウェザ・リポート』です。そう、表紙は丸髷を結った小太りの女性が腕まくりして洗濯物を干している。背景は五稜郭と函館山が描かれている。そう、宇江佐…

天満明星池

加瀬政広 著 天満明星池 西町奉行所吟味役同心「鳳 大吾」と巫女町と呼ばれる一角に住む若い梓巫女「お駒」の軽い捕物である。 大坂町奉行所は、東西の奉行所が設置されている。西町奉行所の同心が主人公である。次々に起こる事件を大吾と目の見えない梓巫女…

始末屋

宮本 紀子 著 始末屋 面白いです。 「直次郎」は田町の外れにある始末屋「だるや屋」で働いている。始末屋とは、借金の取立て屋である。ちょっと他と違うのは、吉原の妓楼、主に小見世を相手に商売をしている。無銭遊興や、勘定の焦げ付いた客があると、取立…

もののふ莫迦

中路啓太 著 もののふ莫迦 『もののふ』とは武器をとって戦う者であるが、『もののふ』は、もののふの道を踏み外さずに生きることである。恥を知ることである。己が敗北するかもしれぬとの思いを胸に宿す者は情けを知り、弱き者、敗れしもの者にも恥をかかさ…

おちゃっぴい

堀川アサコ 著 おちゃっぴい(大江戸八百八) 軽い小説です。捕物です。 日本橋高砂町の路地裏。刺青彫師「青治」の住まい兼仕事場である。青治の住まいを過ぎて、路地の角をまがって新道に出て、いくらも行かないうちに六道館、原無限流を教える道場がある…

モーツァルト K.622、K.595、K504 演奏会

アンコール : Schumann 幻想商品集 Op.73 より 第一曲 (メイエとシュタイアーのduet) K.622、K.595は、それぞれの奏者による、吹き振り、弾き振りでした。K.622では全く違和感ありません。メイエはほとんどを楽団に任せていました。好演でした。K.595は少…

防諜捜査

今野 敏 著 防諜捜査 オール読物2015年2月号~12月号に掲載された小説です。 防諜とは、ウィキペディアによると、『外国政府やテロリストによる諜報活動や破壊活動を無力化すること』とあります。平和ボケの日本にいると実感ありませんが、日本はこれらの…

寮生(1971年、函館)

今野 敏 著 寮生(1971年、函館) 主人公の名前は明かされていません。(だぶん) 「僕」と「おまえ」で表されています。 主人公は、1971年4月に函館にある男子高校に入学し、寮に入る。寮は一年生の入る一寮、二年生の入る二寮、三年生の入る三寮に分かれて…

藪医 ふらここ堂

朝井まかて 著 藪医 ふらここ堂 率直に言うと、先日まで読んでいた『おまえさん』に比較すると、”ぬるいお湯”の様な読書感です。 主人公は「おゆん」、おゆんの父「天野三哲」は小児科医である。三哲は、朝の寝起きが悪く患者が来ても寝ている。患者には『ま…

おまえさん

宮部みゆき 著 おまえさん(上)(下) 『ぼんくら』『日暮し』に続く第三弾である。面白いです。しかし長いですね。19行 x44文字が一頁で、上巻506頁、下巻508頁で、ともに500頁を超えています。でもそんなに苦になりません。 本所深川のぼんくら同心・「…