乱丸

宮本昌孝 著 乱丸

 

 織田信長が若かった頃から、仕えていた 森三左衛門の三男 乱丸が主人公である。父と長兄を戦いで亡くしていた。幼少の頃から聡明であり、目を瞠らせるばかりの紅顔の美少年であった乱丸は、十三歳で信長の近習として仕え始める。

 信長の随一の寵臣であり稀代の近習というべき 万見仙千代重元 に指導されて、信長のことを知り、信長がどうしたいかを思考し動くことを学ぶ。信長は書状で、第六天魔王’と署名したことがある。自分は魔王であると思っているのである。これらのことから、信長の満足のいくように事を進めながら、その過程で、信長の独善的な暴走をそれと気づかれずに歯止めをかける様に配慮したり、策を講じることも必要と学ぶ。

 子飼いの近習衆から秀吉や光秀に匹敵する将を育てたいという思いから、仙千代を戦死させてしまう。乱丸は、十五歳、奉公三年目という経歴で、近習衆の最上席の三名の次代を担う筆頭となる。信長と乱丸は、魔王とその子 薩陁(サツタ)であるという約束を交わす。

 下巻では

 乱丸は十八歳となっていた。織田信長随一の近習という世評を得ていた。周囲が驚愕するほどの速さで出世したのは、仙千代に鍛えられ、信長その人の薫陶まで受けられたおかげである。

 主従の余すところ、一年半である。本能寺の変まで。

 

 

 

 

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