葵の月

梶 よう子 著 葵の月

 

 将軍家治の嗣子である家基は、品川の新井宿へ鷹狩りに出た。東海寺にて休息をとった。茶を喫した直後、家基はにわかに不調を訴えた。急ぎ城へ戻り、手を尽くしたが、容態はみるみる悪化し、三日後、息を引き取った。

 

 『上田田秀人』好みの題材ですが、中身は全く違います。主人公は旗本の息女です。私は大変面白かったと思います。 

 

 「志津乃」は、六百石の旗本で西丸書院番組頭「立花惣太夫」のひとり娘である。志津乃は「坂本蒼馬」と先を約束していた。志津乃は蒼馬の奔放さに憧れを抱いていた。しかしは蒼馬は、家基が亡くなって一年後に出奔した。今は勘当の身である。蒼馬の空いた席に「高階信吾郎」が西丸書院番士に取り立てられた。今は信吾郎が蒼馬の後釜として立花家に出入りしている。父の決める縁談には従わなくてはならないが、志津乃は信吾郎にどことなく不安がよぎる。

 坂本蒼馬と高階信吾郎はともに神田佐久間町にある心形刀流の道場一心館の同門である。年も同じ、入門も同じ、目録を授かったのも同じである。しかしこの二人は家基の死をめぐって敵対して行くのである。

 

 

 

 

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