初陣(隠蔽捜査-3.5-)

今野 敏 著 初陣(隠蔽捜査-3.5-)

 

 隠蔽捜査シリーズの 3.5巻目です。不思議な副題です。これも面白く、一気に読めました。

 巻末の初出を見ると、いろんな時期に順不同で書かれています。第3.5巻目、この『初陣』は、小説新潮2006年6月号~2010年5月号、章は順不同で、執筆は前後しています。第一巻目『隠蔽捜査』の隠蔽捜査は、初出が 2005年です。第二巻目『果断』は、2007年。第三巻目『疑心』は、小説新潮 2008年6月号~10月号です。

 この3.5巻目は、これまでは「竜崎」が主人公でしたが、「伊丹」からの視点で書かれています。しかし読み終わると竜崎が主人公であることは変わりありません。

 「伊丹俊太郎」は福島県警本部の刑事部長を三年務めたところで警視庁の刑事部長へ変わることになる。この福島での仕事ぶりから、彼の処世術が判る。「竜崎信也」は警視庁長官官房総務課の広報課長から、総務課長に変わる。『初陣』の章では、伊丹の警視庁刑事部長の、竜崎の総務課長としてのそれぞれの仕事が描かれている。『試練』の章では、「畠山美奈子」が登場する。アメリカ大統領の警備について、伊丹は竜崎に「藤本実」警備部長に面談のセットを頼む。その際の雑談で、藤本は伊丹に『竜崎に女をけしかけようとーーーー。竜崎にほの字な畠山で試して、竜崎に試練をさせて、もう一回りでっかい男になって欲しい』。竜崎は藤本部長に期待されている。伊丹はまたしても、竜崎に劣等感を覚える。

 

 

 

✰✰✰✰

===================================================================

===================================================================