2016-08-11から1日間の記事一覧

残り者

朝井まかて 著 残り者 慶応四年(1868年)の四月十日は、江戸城明渡しの沙汰により、大奥からすべての者が出ることになる日である。 天璋院は「ゆるゆると、急げ」と命じて、自らも一橋邸に移った。 十一年前に十五の齢で大奥に上がり、呉服之間に勤める「り…