熱波

今野 敏 著 熱波

 

 「磯貝竜一」は私大出身の自治省キャリアである。内閣情報収集室に出向している。

突然、沖縄に出張を命じられた。

 その下調べは、朝方までかかり、そのまま飛行機に乗った。冷房の効いた那覇空港から出た磯貝は、タクシー待ちの列で、脳貧血をおこし、その場にしゃがみこんだ。

 『だいじょうぶですか?』と声を掛けられた。声を掛けたのはすごい美人であった。

沖縄県庁に行くというと、彼女も近くまで行くので、送りましょうかと言われ、タクシーに同乗する。彼女は、「仲泊美里」といった。

 県庁では、国際都市形成構想推進室長と会った。何をしに来たのかという対応であった。次に知事に会った。知事は室長とは違い、屈託なく感じられた。知事から、知事の補佐官を紹介された。「比嘉隆晶」という。滞在中は彼が案内すると言い、『比嘉君のいう事は、私の考えだと思ってください。』と言われる。えらく信用されている。

 その日の晩は、比嘉に裏通りの定食屋に案内された。客をもてなすのに見合った店でない。次の日の夕食もその店であった。その晩はさらに、比嘉が経営する店に行った。

 比嘉はスナックと言ったが、ライブハウスといった感じである。その店には、仲泊美里がいた。従業員である。その店から出たとき、台湾マフィアに拉致されそうになる。ー-----』    

 

  

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