薫風ただなか

あさのあつこ 著 薫風ただなか

 

 十万石の石久藩には、上士の子弟のための「藩学」と郷校である「薫風館」がある。

 「鳥羽新吾」は、昨年の晩秋、それまで通っていた藩学から、薫風館に学びの場を替えた。それが、母「依子」の逆鱗に触れ、体を震わすほど憤った。

 新吾の父は家を出て、一度嫁いだが夫と死別し、子もなかったので実家に帰りひっそりと暮らしていた女と暮らしている。この件が重臣たちの不興を買い、減禄こそ免れたものの噂されていた執政入りの話は立ち消えとなった。

 新吾の学友は、下士の息子「間宮弘太郎」、新吾の一つ年下の十三歳「栄太」は領地の外れにある村の名士の息子である。

 父が突然戻ってきた。他言無用と前置きし、『今日は、そなたに折り入って頼みたいことがあってな』 、『薫風館を探ってもらいたのだ』 -----。

  

  

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