院内刑事

濱 嘉之 著 院内刑事

 

 「廣瀬知剛」は、川崎殿町病院リスクマネジメント担当顧問は四十五歳。

 早稲田大学法学部を卒業して警視庁入庁後、主に警備公安畑を歩んできた。警部補時代には内閣官房内閣調査室で三年間勤務し、その後公安総務部で情報担当として警部に居座り昇任して管理職試験に合格した年に辞職していた。

 廣瀬のもとに電話が入った。全日本航空総務部秘書室長からだ。福岡から羽田に向かっている二四〇便内で、浅野財務相がコップの水を飲めずに口からこぼしてしまい、呂律の回らない状態である。

 廣瀬は、直ちに緊急医療チームを、飛行機のスポット下までつける手配をした。救急社は最短距離を通って病院についた。検査後、直ちに手術がされた。

 病名は脳梗塞である。しかし病理検査でジギタリスが検出された。昇圧剤である。

 浅野財務相は殺されかけたのである。

   

 

 

 

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