九十九藤

西條奈加 著 九十九藤

 

 増子屋は本店にあたる油問屋、隣に蝋燭問屋と合羽問屋と三軒仲良くならんで、ともに繁盛している。そして四軒目にあたる増子屋は、表通りを折れてすこし途切れた場所にある。『冬屋(かづらや)』という口入屋である。冬屋は、開店以来二年間儲けがでていない。

 四軒の増子屋を束ねる主人「増子屋太左衛門」から、冬屋の経営を任されて『差配』として切り盛りすることになるのが「お藤」である。表裏合わせて七人が部下となった。油問屋の手代頭から口入屋の番頭になったもの、不心得が過ぎると蝋燭問屋から出された手代頭「島五郎」、中間上がりの手代が二人、入って一年ほどの小僧、そして下男と女中である。

 お藤が差配となったと聞いて、手代たちは『女には無理な商売だ。中間どもとどうやって渡り合うつもりだ』と騒ぎ出す。

 お藤は『中間衆とのつきあいを断ち、武家奉公人から手をひくことにします』、『冬屋は武家ではなく、商家をお客といたします』と答えた。

 お藤には秘策があった。---------

 

 私は面白く読みました。特に巻末が良かったです。

 

 

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