梶よう子 著 連鶴
江戸八丁堀北、桑名藩上屋敷藩士長屋に住む「速水丈太郎」二十六歳 の父「正左衛門」は、藩の勘定頭である。丈太郎は元服前までは桑名で過ごしたが、父が勘定頭になった時、正府を仰せ付けられ、家族ともども江戸に移り住んだ。
丈太郎は昌平坂学門所に通った。二つ下の弟「栄之助」は算術に長けており、名の知れた算術者の私塾に通った。丈太郎は昌平坂学門所の朱子学より、新しい知識が溢れた私塾に憧れた。しかし嫡男の立場を思えば勝手は出来なかった。
栄之助は、二年前に商家へ修行に出た。開港まもない横浜だった。商いの修行を終えたのち、ひとり娘「おつる」の婿として、婿入りが決まっていた。
丈太郎の妻「美郷」は国許の幼馴染である。一子「貫太郎」がいる。
桑名藩主「松平定敬」は、三年前、元治元年(一八六四)の春、京都所司代を拝命し、京都守護職務める会津藩主で兄の「松平容保」とともに京にいた。
幕末、幕府を支える会津藩、桑名藩と対抗する薩摩藩、長州藩、京都での戦い、これらに丈太郎も栄之助も巻き込まれてゆく。
葉室 麟 風な作品ですね。面白いと思います。
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