起き姫(口入れ屋のおんな)

杉本章子 著 起き姫(口入れ屋のおんな)

 

 大変面白いです。一気に読めました。

 「おこう」は、十七で嫁いで、今二十五、ずっとおしとやかな若ご新造でとおっていた。『金長』という金物問屋がおこうの婚家だ。日本橋で四代続く大店である。おこう夫婦には子供がなかった。しかし、おこうの夫は、『金長』先代が暖簾分けした別家の娘との間に息子をもうけた。おこうは離縁し、持参金二百両とともに実家に帰ってきた。

 実家には、父が亡くなり、兄夫婦は、おこうの二百両を当てにしていた。二百両を兄夫婦にくれてやり、おこうは実家を出て、乳母「おとわ」の家に転がり込む。

 おこうは知らなかったのだが、おとわは三春屋とうい口入れ屋を開いていた。そしておとわの店は地面もろとも、おこうの父がが買ってやったものであった。ふたりは わりない仲 であった。

 三春屋は、おとわが病に倒れ休んでいた。おこうは二十七歳で、おとわから商売を引き継ぐ。

 二年ほどたった時、古い暖簾の酒屋『亀屋』のあるじ「友二郎」町内きっての地面や家作の物持ちとおこうの勝手な意地から、かりそめの仲 になった。

 おこうは妊娠した。一人で産もうと決めたが、お腹の子はおとっつぁんを欲しがるだると思うし、------。

 

 小松町の「お関」と、『金長』の女中頭であった「お徳」に、三春屋を託し、亀屋の嫁になる決心をする。

 

 この続編が、オール讀物 2015年 03月号に、ふたたびの浮き世 と題して出ています。

 

 

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