春雷

葉室 麟 著 春雷

 

 豊後・羽根藩を舞台異にした三作目です。各巻には直接的な関連はありません。

 十五年前に仕官し、御勝手方総元締にまで任じられた「多門隼人」は、藩主・三浦兼清を名君とするために、過酷な政策をとる。藩内では、隼人のことを鬼隼人と呼んでいる。そしてこれまで誰も成しとげられなかった黒菱沼干拓の命が下る。隼人は家老に就くことを条件に受諾する。この難工事で、一揆が起こり、藩士の間で反隼人の策謀が進行する。

 十五年前に、仕官の道を求めて羽根藩の国境にまできたおり、養子から藩主に成った兼清のお国入りの行列と出会った。乗馬の得意でない兼清は暴れた馬を鎮められず、隼人の娘は馬に蹴られて亡くなり、身重の妻は生まれる前の子を亡くす。その時、行列を差配していた家老が、隼人を鎮める為に仕官を許す。このような経過があったのだ。

 

 

 

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