転迷(隠蔽捜査-4-)

今野 敏 著 転迷(隠蔽捜査-4-)

 

 隠蔽シリーズの第四です。五巻目になります。これも面白く一気に読めました。

 初出は、小説新潮2010年6月号~2011年5月号で、単行本は2011年9月です。

 大森警察署署長「竜崎伸也」警視長は、例によりひたすら判を押している。東大井で男性遺体が発見された。管轄外だ。大森北三丁目でひき逃げ事件が起きた。集中一号配備、いわゆる緊急配備の要請だ。大森署管内である。大井署管内の遺体は殺人事件であった。警視庁「伊丹俊太郎」刑事部長から電話だ。大井署に捜査本部を作りたいが、被害者が外務省の職員で、公安が乗り出してくる恐れがあるのでどうしたら良いかとの相談である。竜崎は、小規模な捜査本部を作り、パソコンやネットワークを駆使し、公安捜査員も少なくするのが良いとアドバイスする。

 緊急配備を通り抜けひき逃げ車両は逃走した。ひき逃げの被害者は、六十五歳の無職の男性である。

 竜崎の妻「冴子」から電話があった。娘「美紀」の付き合っている「三村忠典」がカザフスタンで墜落した飛行機に乗る予定になっていたと言う。何かわかる伝手はないかと言う。竜崎は長官官房の総務課長時代の外務省の知り合い「内山明之」に電話した。折り返し電話をするということである。

 麻薬・覚醒剤の売買を捜査している生活安全課で、売人を検挙したところで、厚生省麻薬取締官から猛烈な抗議が来た。大森署の捜査には落ち度はなかった。麻取りの動きは知らされていなかった。麻薬取締部まで来いと言っている。竜崎はほっておけと指示する。

 大森署管内で、連続している不審火、放火が発生している。強行犯係が捜査をしているが、本庁の交通課から強行犯係に捜査に加わるよう要請がきている。竜崎は本庁の交通課長と話をすることにする。

 外務省の内山から電話があり、墜落した飛行機には日本人がのっていたという情報はないと回答があった。反対に、東大井の外務省職員の情報を聞かれた。藪蛇になった。しかし竜崎は、その職員が中南米局南米課で働いていたことを聞く。

 「土門欣一」交通課課長が来た。不審火を調査している強行犯係を出す代わりに、本庁捜査一課から捜査員を派遣すると事で話がつく。

 麻薬取締官「矢島滋」が来た。今後は情報交換するという事で、話がまとまる。

 ひき逃げ犯の捜査本部ができる事になる。大森署である。竜崎は副本部長になる。

 夜中三時半に携帯電話が鳴る。管内で不審火で出火が起こる。竜崎は現場に出かける。

 六時半に署に着いた。竜崎が対処しなければならない事案は、不審火、ひき逃げ事件の捜査本部、厚生省麻薬取締部のクレーム、東大井の殺人事件、外務省の内山、とリストアップした。

 伊丹が来た。東大井の捜査本部長であるが、ひき逃げも殺人を視野にいれているので両方のかけ持ちをするという。伊丹は竜崎に、外務省内山から情報を引き出してくれと言われる。ひき逃げの被害者は、外務省の元職員、キャリアOBであつた。

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 「戸高」が有力な情報をつかんでくる。ひき逃げ犯を見た人物がいた。ひき逃げ犯は隆東会幹部「天木兼一」であると証言した。

 東大井の事件は、公安が仕切りたがっている。ひき逃げ事件は、麻薬捜査官からクレームが来ている。

 結局、東大井の事件、大森署管内のひき逃げ事件、麻薬取締官との駆け引き、この三つを合わせた捜査本部を竜崎が指揮する事になる。

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 これを書きながら、もう一度読み直しました。

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