料理人のためのジビエガイド

神谷英生 著 料理人のためのジビエガイド-上手な選び方と加工・料理

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 国産の鳥系ジビエ好きとしては、無視出来ない本です。

 筆者はフランス料理店のシェフである。国内で入手可能な鳥獣を丁寧に説明した書物である。

 鹿、猪、熊がハンターからレストランに届くまでには、いろいろなクリアしなければならない事柄があるのを再認識しました。

 私自身の興味を惹く点は多々ありました。忘備録的に列記します。

1. ジビエを扱う上で最も重要なのは、旬の状態を見抜くかということ。最高の状態は一年で数か月。ピークと落ちた時の違いを理解し、何を除き、何にを加えるかがポイント。

2. 鳥類の熟成。海外産はすぐに調理した方がよい。国産の野生は、仕入れ後3日程度で羽をむしり、腸を抜き、皮を乾かすようにさらに3日ほど乾燥、熟成させる。羽付きのまま長期保存すると表皮が弱り、皮がやぶれやすくなる。

3. 国産の真鴨、網取りは餌付けをして捕獲しているので、おとりの餌の種類により肉質が変わる。この網取りの場合はオスのほうが脂がのっている。

4. 散弾銃での捕獲の場合は、メスのほうが脂がのっている。鴨個体ごとに、肉質は安定しないが、より野性味が強く出る。最も状態のよいのは、11月下旬~12月末まで。海、河川近くの鴨は、魚、ヘドロを食べるので、臭くなる。

5. 小鴨サルセル、オス、メスの肉質、味に大きな違いはない。肉質、味は抜群。赤身と脂身のバランスがとれて野性味も強い。これぞジビエという豊かな味わい。

6. 尾長鴨、肉は赤身で歯ごたえがあり、血の味が強く野性味がある。オスはやや大味。あたりハズレが多い。10羽中半分は満足に使えない。

7. 嘴広鴨、味は良くない。食味としては一番下のランクのカモ。

8. 片無双網猟、解禁一ヶ月から餌付けを始める。一日10Kgのくず米をまく。猟期の三か月で約一トンの米をまく。繁殖羽に生え変わる前の黒い羽が鴨の胸に残っていると、羽が脂身に入り込んでいる毛根近くに黒い液体が溜めっているので売り物にならない。完全に冬羽に生え変わってから捕獲すること。獲ったカモの3~4割は品質が落ちるので商品にならない。

9. 田鴫ベカシーニ、生息数は非常に少ない。(私も一度しか食べた事ありません)

10. 山鴫ベキャス、国内生息数は非常に少ない。(国産は二度、新潟産と種子島産)

11. 雉鳩、サマージビエ、旬は夏、国産はあっさりとした淡泊な味、長期熟成には向かない。

12. 日本雉、一年を通してそれほど味に変化はない。オスの肉は繊維が粗くてかたいが、メスは柔らかくきめが細かい。熟成すると大きく変化する。30日間長期熟成させると、味に深みが出て濃厚になり、香りが強くなる。(30日熟成させた雉食べた事あります)

13. 山鶉ペルドロー、ルージュとグリ、ルージュはよりくせがなく淡泊。グリは適度に歯応えがあり野性味はやや強い。

14. 雷鳥グルーズ、スコットランド産がほとんど。羽付きのまま冷凍保存し、解凍して出荷することが多い。12月末までがチルド物の出荷ピーク。北海道のエゾライチョウ猛禽類に近い野性味ある肉質で、歯応えがあり、脂が少ない赤い肉で、熟成させると旨みが増す。

15. 鵯ヒヨドリ、入荷したら少し冷やし皮を締め、その日のうちに羽を抜き、3℃の冷蔵庫で保存。その日から三日以内に使い切る。

16. 野兎、猟期の11月15日~2月15日までが旬で、血の香りが格段によくなる。

 

 

 

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