山本兼一 著 命もいらず 名もいらず
「山岡鉄舟」の十歳から死までの話である。名は「小野鉄太郎高歩」のちに山岡家に養子に入る。父は六百石の旗本で、鉄斎十歳の時に飛騨の郡代(代官)として赴任する。父は鉄斎の為に江戸から北辰一刀流 「井上清虎」を招き、剣術を学ばせた。十七歳の時、父が亡くなり、江戸に戻る。
生涯にわたって、撃剣と座禅と書を追求した。
山岡鉄舟の一番の功績は、江戸を戦火なく、徳川から朝廷に引き渡し出来るように、西郷隆盛と話をつけた事である。
一刀流の允可を、浅利義明から得る。さらに大悟徹底したと、滴水和尚から認められる。四十五歳である。心のほかに刀は無しとして無刀流を開く。
山岡鉄舟の死は、そのまま、日本の侍の死であった。
鉄舟という人物は、世間とのかかわりがどうであれ、ひたすらおのれを磨き高めることに熱心だった。
長編である。上巻三百六十頁、下巻四百三十頁、一頁あたり八百六十字である。
私は、『とびきり屋』シリーズの方が面白いと思うし、好みである。
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