悪血(おけつ)

上田秀人 著 悪血(表御番医師診療禄 -4- )

 

 著者の悪癖である、繰り返しが相変わらず多い。

『お城坊主は城中の雑用一切を担当する。厠への案内から、湯茶の準備まで、お城坊主なしでは、百万石の前田であろうが、なにもできなかった。またお城坊主は城中のどこにでも出入りができることから、意外なところに顔が利き、老中とも話ができる。お城坊主に嫌われると、よくない噂をあちこちに撒かれ、手痛い目に遭いかねない。』

このあと数頁あとにも、同じ記述が出てくる。これでいったい何回目であろうか。本書をまず初めに読む読者はいないであろう。第一巻目から読んでいると思う。編集者は作家に注意が必要である。

 

 筋書きは面白いです。しかし繰り返される内容が多いために、話の進行は遅い。

城中で怪我をした御広敷伊賀者を治療した、表御番医師「矢切良衛」はそれを大目付「松平対馬守」に報告する。松平対馬守は、御広敷伊賀者は大奥にて女忍びに襲われたと推測し、幕府典薬頭として医政を司っている良衛の岳父である「今大路兵部大輔」に良衛を表御番医師から御広敷番に替えるよう命じる。良衛は外科術が得意であったが、御広敷番になると大奥の女を専門に看る事になる。松平対馬守は良衛に大奥の様子を探る様に命じる。

 

 

 

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