みなそこ

中脇初枝 著 みなそこ

 

 あるひと夏、少年と、その母親と同い年の女性との淡い恋の話です。

山奥の小さな部落へ、娘「みやび」を連れて、毎夏、里帰りする「さわ」は、ピアノ教室の教師である。みやびは小学四年生である。さわの夫「智彦」は小学校の教師である。

さわの両親は兼業農家で今はリタイヤし農業を続けている。隣家には、さわの生まれた時からの友人で同級生の「ひかる」が離婚し、二人の子供「りょう」、「しん」を連れて実家に戻っている。

 さわは空港でレンタカーを借りて、山奥の小さな部落まで来た。両脇の手すりのない沈下橋を渡っている時、中学の制服をきた男の子が橋の端によけ、こちらを見て、「さわさん?」と聞いた。「りょう?」

あんなに小さかったりょうは、私を見下ろすほどになっていた。

 

 

 

 

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