本多の狐 -徳川家康の秘宝ー

羽太雄平 著 本多の狐徳川家康の秘宝

 

 面白かったです。この著者の「榎戸与一郎シリーズ」は、私の愛読書です。

書名の本多とは、本多政重、加賀前田家の筆頭家老であり、藩最高の知行五万石を頂き、しかも従五位下安房守という爵位も得ている。本多の狐とは、本多家が使っている「忍びの集団」である。元をただせば、上杉の戦忍びで、本多政重が直江にいた時からである。

 本書の主人公は、浮田平四郎である。二十四歳である。平四郎は、本多政重の護衛を引き受けている食客である。平四郎の父は、坂崎出羽守長盛といい、大坂夏の陣において炎上する大坂城から家康の孫娘千姫を救いだし、その功により千姫を娶ることを許された。しかしその約束はほごにされ、不服とした出羽守は千姫強奪を計画し事前にもれて殺されてしまう。平四郎は、十五歳から加賀に居る。父の血が、身の破滅を招くと言われ、「よくよく女子には心しなされ」とも言われている。

 平四郎は政重のお供をし、引手茶屋にのぼった。政重は屋敷から報せがあり不意に戻った。「平四郎は、のこって遊んでゆけ」といわれる。ひょんな事から、引手茶屋の女将お浜と関係を持つ。含羞を含んだ視線であり、純なところのあるお浜であった。

 

 話はますます面白くなります。

 

 

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