上野池之端 鱗や繁盛期

西條奈加 著 上野池之端 鱗や繁盛期

 

 出だしは穏やかな感じで始まりますが、終盤にかけてはミステリーの様な展開です。

 信州の片田舎の小さな村で育った お末 は十四歳になる。母の兄にあたる伯父の娘 お軽 (お末の従姉になる)が江戸の料理茶屋に奉公に出て、良縁に恵まれて、店を辞めることになったが、同じように働き者の娘を世話してもらえまいかと店の主から伯父は便りをもらった。父親は良い顔をしなかったが、奉公先を探していた矢先であったので、奉公に出ることになった。

 伯父の話はでたらめだった。鱗やは料理旅館とは名ばかりで、いわば連れ込み宿だった。また、お軽がしでかした不始末を尻拭いするために、代わりの働き手として寄越されたのだ。

 鱗やの主人、宗兵衛、内儀のお日出、娘のお鶴は、お末に辛くあたったが、主人夫婦の娘婿にあたる八十八郎(ヤソハチロウ)はお末にやさしかった。女中のあいだでは菩薩旦那と呼ばれていた。

 若主人の方針転換でお店は料理を売り物にすることになる。お末は見所があると評価されお客に接する役を任される。

 

 

 

 

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