警視庁情報官シークレット・オフィサー

濱 嘉之 著 警視庁情報官シークレット・オフィサー

 

 作者は、警視庁入庁後、公安総務課、警備企画課、内閣官房内閣情報室等を経て、警視庁警視で辞職している。在職中から感じていたと思われる事柄が記されている。

 日本は安全面においては世界に誇る体制が整っているし、様々な分野において世界のトップクラスにありながら、外交分野では劣っている。第一に「正義」が定義されておらず、法律上の「宣誓」が形式的になり、政治家、財界人、法律家が「嘘」をつく。第二に、言語面にハードルがあり、外国人とのコミニケーション不足が生じる。第三に、防衛意識の低さと国家概念の欠如している。第四に、国家機構としての情報管理組織が存在しない。

 世界の情報マンはCIAを評価していない。常に交代する政権の下で、機密が暴露される危機に瀕している。情報を冷静に分析できる機関は、モサド中華人民共和国安全部である。民族の意識として支える体制ができている。

 日本は、次第に後れを見せている。ドイツについていかなければ、国家としての発言力が低下するばかりか、中国や韓国にまでなめられてしまう。晩節を汚した首相がいい例である。

本書はこの観点で書かれている。

 主人公は、警視庁総務部企画課情報室 情報官 警視 黒田純一 である。プロローグでは、事件の大詰めとなる場面が記入されている。この情報室を作ったのは、北村警視総監、西村警察庁長官である。

 第一章以下では、キャリアである西村、北村の生い立ちから、警視庁での出世、情報室を作る必要性を感じ、実現して行くところを描いている。また、ノンキャリアである黒田は、ノンキャリアでは、トップの成績で、トップの出世を遂げている。さらに情報マン(スペシャリスト)である。時系列的に前後が入れ替わっていてややこしい所がある。

 第三章以下では、この情報室は素晴らしい成果を挙げる。

ここが本書の中核である。

 エピローグでは、政権から見て「危険な集団」となってしまった為、公安部公安総務課に吸収される。

  このシリーズは既に五巻が出版されている。

 

 

 

 

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