浅草機動捜査隊

鳴尾 章 著 浅草機動捜査隊

        (-1-)マリアの骨

        (-2-)刑事の柩

        (-3-)月下天誅

 

 面白いです。各巻が絡み合って話が進んでいます。

主人公は、機動捜査隊日本堤分駐所の五十を過ぎた刑事 辰巳悟郎 巡査部長である。相勤者は、新米刑事 小沼優哉 巡査 である。

「マリアの骨」 辰巳は、彼らが最初に臨場した、首を絞められ殺されていた 四十歳の女性 大川真知子 の火葬に立ち会った。遺族は中学生の娘一人であったので、骨揚げを手伝った。彼らは、日々の機動捜査をしながら、捜査を進めていた。

更に女性の絞殺死体が発見され、辰巳、小沼が臨場した女、八か月前の女、三人を殺したのが同一犯として特別捜査本部が設置される。捜査を仕切るのは、本庁からきた刑事で、辰巳らは、情報を与えられず、指示通り動くだけとなる。日々の機動捜査をしながら、防犯カメラの映像を見るのが仕事になる。その映像から犯人が浮上する。その犯人を追いかけながら、辰巳は、大川真知子に出会った十六年前を思い出していた。吉原のソープランド 伽羅 であった。そして二人は付き合いだした。小沼は負傷したが、辰巳、小沼は犯人を逮捕する。被疑者が自供し、物的証拠も揃った時点で警察の捜査は終了する。しかし今一つ釈然としなかった。捜査情報漏洩があったようである。

大川真知子の娘 亜由香 から電話があり、彼女が叔母に引き取られてゆく日に会いに行った。彼女の胸に骨壺を抱えていた。亜由香の顔を見ていると真知子に最後に会った時を思い出した。「あたし、結婚するの」。

「月下天誅」 最後のフィクサーと呼ばれた 高橋天山 が日本刀で首を刎ねられ殺害される。小沼は剣道をしていた。殺人を目撃した運転手がその太刀筋に疑問を持つ。さらに、殺された動機に、中国の利権がらみが考えられた。

新潟の郊外で、国土交通大臣衆議院女性議員が首を一刀両断される。凶器は日本刀とみられた。更に、大田黒元総裁が都内の病院で殺される。

小沼は、劇場で、橘喜久也一座の芝居をみる。喜久之丞の太刀筋をみて、犯人と確信する。次に現職首相が狙われているとの情報を得て、それを阻止する。

  辰巳、小沼が午前四時に自転車に乗っていて、補導した少年 栗野力弥 と看護師長をしている母親が、登場する。

「刑事の柩」  辰沢は次の誕生日で五十七歳になる。警察学校で同期であったが上司となっている 成瀬 に捜査に関わらない指導係への移動を打診される。

大川亜由香から相談したいと連絡があり合う。三年経ち、高校一年生になっていた。魚津にいる。東京に来た彼女と、彼女の行きた所、食べたものに付き合う。吉原に連れて行けと言われ、母が働いていたのはどの店かと聞かれる。潰れたと答える。彼女は母親の携帯を取り出し記念撮影をする。相談事は、「誰かにつきまとわれている気がする」であった。彼女は魚津に帰ったが、危険と感じた。

新潟では、二人の箱詰めになった女の被害者が出ていた。魚津警察署に特別捜査本部が設置された。

亜由香のことを相談するため古書店店主の渋澤に会う。彼にすべてを話、彼に言われる。「警官と言う職業は、結婚相手の身上調査はお手の物であり、ソープ嬢をしていたという過去をほじくり返されるだけではなく根も葉もない噂までたてられ、傷つく彼女を見たくない。警察を辞めれば解決するが、刑事を辞めるのは自分を捨てることになり、そうすると、彼女は自分を許すことができなくなる。結局別れるしかなかったのだ。」

 警察OBに、富山県警察に知人がいないか聞き、紹介をしてもらう。早速、翌日に魚津へ出向く。刑事課の中村と会う。中島に死体発見現場に案内してもらい、その後亜由香に会う。再び、中村に会い、後を頼む。

 亜由香の叔母から、亜由香が帰宅しない。部屋を見るとメモがあり、辰巳の携帯番号が書いてあり、「辰巳に母親の携帯を渡してほしい」とあつた。

 辰巳は直ちに、拳銃を用意し、車を借りて、魚津に行く。携帯には、吉原の伽羅の前で写した写真と、事件の手がかりとなる犯人の写っている写真があった。犯人を追いつめ捕えるが、辰巳も重症を負う。魚津の救急病院、富山の大学病院と一月半の入院であった。五十日間の停職処分を受ける。指導係の話は立ち消えになり、辰巳の代わりに、小沼には別な相勤者が来ていた。

亜由香の母親真知子は「辰巳と結婚できたらーーー」と話をしていたそうだ。

 

 

 

 

===================================================================

===================================================================