時のみぞ知る

ジェフリー・アーチャー 著 時のみぞ知る  クリフトン年代記 第一部

 

 プレリュード:

 メイジーは婚約者たちと共に保養地へ出かけた。彼女はそこで処女を捨てようと考えていた。ところが婚約者アーサー・クリフトンは保養地に着くやいなや、彼女の兄スタンとパブに直行してしまつた。メイジーは、声をかけた、意外な、二度と会わないと思われる人物に口説かれセックスをしてしまう。彼女は妊娠をした。母親と相談し、誰にも言わなかった。

 ハリー・クリフトンの視点で

 メイジーの子、ハリー・クリムトンは父親は戦死したと教えられていた。六歳になって初等学校に入学した。彼は素晴らしいボーイ・ソプラノであった。聖歌隊で歌うために勉強を始めた。周りの後押しもあり、彼はセント・ビーズの入学試験を受け、聖歌隊奨学生として入学する。入学、入寮の日、ハリーは母と路面電車で学校へ出かけた。学校の前には、御者付の馬車や、ロールス・ロイスで両親に送られてきた生徒がいた。聖歌隊奨学生は得意分野以外では能力を発揮するのが稀であるが、彼は稀な例であった。そこで二人の友人を得る。アル・ディーキンズ、一般公募奨学生であり、学年で一番成績が良かった。もう一人はジャイルズ・バリントンバリントン海運の三代目である。

 ジャイルズが誕生日の時、ハリーは、ジャイルズに誘われディーキンズと共に、バリントン家を訪れる。ロールス・ロイスが門を抜けてから屋敷が見えるまでに庭師が六人もいた。そこで、母親エリザベスを紹介され歓待される。父親ヒューゴーも紹介されるが、ディーキンズとは握手したが、ハリーとは握手しなかった。ジャイルズの妹 エマを見かける。

 ハリーは、声変わりに時期になったし、さらに上のブリストル・グラマー・スクールでは、聖歌隊奨学生はなく、一般公募奨学生になる必要があった。

 入学試験の結果、ディーキンズは92点で一番で合格し奨学生となり、ジャイルズは64点で合格した。ハリーは、78点で合格したが、奨学生とはならなかった。

 メイジー・クリフトンの視点で

 結婚し、ハリーが生まれて間もなく、夫アーサーは、勤めている造船所から帰宅しなかった。同じところに勤めているスタンは夜半に帰宅したが、アーサーの事は話さなかった。それ以降、彼女はウエイトレスとして働き、次第にキャリアをアップさせ行く。ついに自分のお店を持っにまで至るが、放火による火事で店を失い、ハリーの学費に行きづまる。そしてある人物に会いに行く。 

 ヒューゴーバリントンの視点で

 ヒューゴーバリントンは、ハリーの父親 アーサー・クリフトンの死に関わっていた。死を止めようとすれば出来る立場であった。アーサー・クリフトンを探すように頼んだスタンを無実の罪に落とし刑務所に入れる。服役後、この件について黙ることを条件に再雇用する。

 メイジーが保養地でセックスした相手は、ヒューゴーバリントンであった。ハリー・クリムトンはヒューゴーの息子であった。

 ヒューゴーは、自分の息子ジャイルズが、自分の息子かもしれないハリーと同じ学校に入学したことを喜ばなかった。いろいろ画策し、メイジーを経済的に立ち行かなくし、学費が続かないようにした。

 メイジーがヒューゴーに会い、ハリーの学費を出すように言った時、ヒューゴーは要求を呑んだ。そして彼女の顔を殴った。 

 ここまでが上巻である。

 

  オールド・ジャック・ターの視点で

 この章で、オールド・ジャックはハリーが岐路に立った時、直接的な助言だけではなく、裏面から多くの人に働きかけて彼を支えていたことがわかる。

 オールド・ジャックは、部下二十四人の命を救ったことで勲章をもらっているた。その為に敵を十一人殺したのを悔やんで、鉄道客車の廃車両で生活いている。ハリー・クリフトン少年は後に「自分の全人生を形作ってくれたのはオールド・ジャックである」とオールド・ジャックに言うが、オールド・ジャックもハリーと出会ったことで救われたのである。

 ジャイルズ・バリントンの視点で

 ジャイルズは、新学期に、ハリーの母親の店が焼けたにもかかわらず、ハリーが登校してきたのを見て大変喜ぶ。

 ブリストル・グラマー・スクールの最終学年、ジャイルズは家族と共にトスカーナに行く。ハリーは芸術鑑賞クラブを率いて、ローマに向かう。ジャイルズはハリーに会う為に、妹 エマ を連れてローマに向かう。しかしジャイルズは本来の目的を忘れて、妹エマをハリーに押し付けて出かけてしまう。

 ブリストル・グラマー・スクールでは年に一度の演劇祭が行われる。今年はロミオとジュリエットが上演される。少女役にはレッド・メイズ女学校から選ばれた。三夜連続の最終日、出演者の両親が観劇にきている。ハリーがロミオ役であり、エマがジュリエット役であることが判った時、ヒューゴーバリントンは憤然と席を立って帰宅してしまった。ロミオが気を取り直して態勢を整えるのに時間がかかったが、最後の幕が下り、ハリーとエマが手をつないで拍手喝采に迎えられた。二人の仲は演技ではなかった。始まりはローマであった。

 エリザベス・バリントンヒューゴーの妻)は帰宅後、夫に赦されない振舞いの弁明を聞いたが、ヒューゴーは妻に暴言を吐き、エリザベスは娘を連れて家を出てしまう。

 ヒューゴーバリントンは、ハリーをぞんざいに扱っている理由は、ハリーの父親の死に関係している為だと言い訳し、家族に謝罪する。

 ジャイルズ、ディーキンズ、ハリーはオックスフォードに合格する。

 エマ・バリントンの視点で

 エマは兄ジャイルズと一緒に、トスカーナの別荘からローマのハリーに会いに行く。ハリーは初めて、エマと会ったと言うが、エマはハリーと十回以上会っていると記憶していた。その夜、ハリーはジャイルズに頼まれて、エマをディナーに誘う。それ以降彼らは図書館でしばしば会うようになる。エマもオックスフォードへ行けるように猛勉強を開始する。

 ハリーはエマをオックスフォード大学記念祭の舞踏会に招待する。その夜二人は結ばれる。そして、ハリーはエマに求婚する。エマの返事は、「あなたが、ジャイルズの十二歳の誕生日に自宅に来た日に、私は結婚すると決めていたの」

 二人の結婚式の日、司祭が異議を申し立てる人はいませんかと言ったとき、「異義あり!」とオールド・ジャック・ターが申し立てた。ハリーとエマは異母兄弟の可能性が大きいと宣言した。結婚式は中止される。エリザベスは娘を連れて遠くへ行った。エマは妊娠していた。

 ハリー・クリフトンの視点で

 ハリーはジャイルズから、ハリーの父親がヒューゴーバリントンであるならば、バリントン家の全財産は、ジャイルズでなく、ハリーが相続することになると聞かされる。

 ハリーはエマから「あなたは、これからも愛するであろうただ一人の男性であり、いつまでも妻であります。たとえ名前だけであっても」という手紙をもらう。

 オールド・ジャック・ターが心臓麻痺でなくなる。

 戦争がもうすぐに始まろうする時、ハリーは学校を休学し、海軍に志願を考える。ヒューゴーバリントンの父サー・ウォルター・バリントン(彼はオールド・ジャック・ターの部下で、命を救われている)に助言を貰い、戦艦に乗る前に、訓練をするために、キューバを往復する貨物船に乗ることにする。キューバに着く前に戦争が始まり、船は魚雷攻撃をうけ沈没する。

 ハリーは奇跡的にアメリカの船に救助される。同時に救助された同僚のアメリカ人船員は亡くなってしまつた。ハリーが死ねばバリントン一族にとって多くの問題が解決できると考えたハリーは同僚のアメリカ人船員(トム・ブラッドショー)と入れ替わることにした。ハリーがアメリカにトム・ブラッドショーとして上陸した途端に、第一級殺人罪で逮捕されてしまう。

 

 以上が下巻です。まだまだ続きそうです。筆者はすごいストーリーテラーですね。

 

 

 

 

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